[レビュー] DENON DCD-A110音質レビュー
皆様こんにちは!Nony( Follow @Nony________ )です.
DENONのDCD-A110を導入してはや2週間が経ちました.
毎日欠かさずCDを聴いて,ある程度傾向も掴めてきたのでレビューしていきたいと思います.外観等は上記記事をお読みいただけますと幸いです.
機能
DENONはNEシリーズ以降,DAコンバーター機能をプリメインアンプに付加し,ディスクプレーヤーは純粋なSACD/CDプレーヤーとして機能するようなシリーズ展開を行っています.(PCオーディオをスピーカーで楽しむユーザーに対してはこちらが省スペースで嬉しいと思います.)
したがってDCD-A110もその機能は非常にシンプルで,CD/SACD/データディスクの再生機能しかありません.出力もS/PDIF(コアキシャル・オプティカル)とシングルエンドのみ.
あとDENONのプリメインアンプと組み合わせて一つのリモコンで操作するためのIRケーブルの差込口がある程度で,使い方は伝統的なSACD/CDプレーヤーそのまんまです.
機能としてはディスクの再生に必要な諸機能と,SACD/CDハイブリッドディスク用の「ディスク層切り替え」,デジタル出力とフロントディスプレイの電源をオフにし,高音質再生に貢献する「ピュアダイレクトモード」のオン・オフのみです.
動作面で気になる点
音質ではなく,動作面で気になる点を1点だけ先に述べておきたいと思います.
ディスクトレー
ディスクトレーの段差が浅いです.
ディスクを収めるときに神経質にならざるを得ません.
確かにディスクをトレーに収めた場合の見栄えは非常に整います(いわゆる「ツライチ」になります)が,あまりにも見栄えに執着して作ったように思えてなりません.
ディスクをトレーに収める際,指先を全集中(どこかの映画興行収入第一位の某アニメではありませんが)させて収めています.コレ,ちゃんと収まらずにトレーを収納した場合にどうなるのか怖いです.
それ以外ではバグ等発生することなく,テキパキと動作します.
今「純粋なSACD/CDプレーヤー」である理由
DENONはA110シリーズを「次の10年を見据えたモデル」として発表しています.
次の10年に向けているにも関わらず,なぜストリーミング音源に対応しない「純粋なSACD/CDプレーヤー」を発表したのか.ここに疑問を感じる人もいるかも知れません.
実はDENON,国によって差はありますがSX1やSX11といったハイエンドモデルは海外では展開していません.つまり,SX1 Limitedのようなサウンドマネージャー渾身の作も日本国内限定というわけです.
また,外国のストリーマー(ネットワークプレーヤー)は日本国内のそれと比べてその需要が急激に高まりつつあり,ハッキリ言えば「激戦区」です.
DENONが出すネットワークプレーヤーが世界的に見てどのような評価を得ているかはわかりませんが,今でも高級機器に搭載されるレベルのSACD/CDドライブメカを自社設計している数少ないメーカーであるという誇りとこれからも作り続けていくという姿勢,さらにはこれからのDENONが目指そうとしている音を,このDCD-A110でもって世界に向けて発信したのではないかと筆者は感じています.
レビュー
早速レビューと行きたいところですが,最初のレビューの条件を記しておきます.
ここに記載されていない環境については,「オーディオ環境について(随時更新中)」をご覧いただけますと幸いです.
- DCD-A110電源ケーブル:付属品
- DCD-A110のRCAケーブル:付属品
- Pure Directモード:ON
レビュー
それではレビューと行きましょう.
第一印象ですが,
「広い」
です.これはDNP-800NEを試聴した際の最初のレビューと全く同じ印象です.
やはり,近年のDENONサウンドは「空間表現の広さ」がキーポイントのようです.
ただ,DNP-800NEの放つ広さとはまた違った印象.DNP-800NEでは「濃淡のハッキリさというよりはカラフルで,色幅が多い」と書きましたが,このDCD-A110ではそれに加え濃淡のハッキリさも兼ね備えている,という感じでしょうか.
ONKYO C-777のほうが出音は濃密ではありましたが,DCD-A110を聴いてしまうとかなり一本調子というか,棒読みのような音楽の奏で方をしている印象は否めません(ただ濃密なだけ,という感じです).
新品での税抜価格差が4倍ほどありますので当たり前といえば当たり前ですが,C-777ではその生真面目が故に埋もれてしまっていたサウンドがDCD-A110では出てくる出てくる・・・
この10数年(C-777は2007年製,DCD-A110は2020年製)でCDプレーヤーもここまで来たかと,正直驚きました.
いくつか曲を絞ってC-777との違いにフォーカスしていきたいと思います.
GoGo Penguin - Raven
Nonyの中でも一部オーディオファンの中(?)でも定番の1曲です.
新しいプレーヤーは毎回この曲で一発目にチェックします.
まず最初のピアノの打鍵から感じる印象が大きく異なります.
C-777はかなりダイレクトに,指と鍵盤が触れた直後から鍵盤を押しているかのごとくスピード感があります.
それに対しDCD-A110は要所要所でもう少し「間」を感じる部分があり,隣接する鍵盤を押すタイミングの差がよりハッキリとします.また,ドラムの速い演奏に対する追随性も高いです.C-777は「スピード感」,DCD-A110は「スピード」があります.
全体として,DCD-A110のほうが演奏者一人ひとりに対し「精神的余裕」や「懐の深さ」といったものを感じます.
BartolomeyBittmann - Westen
バイオリンとチェロの二重奏です.
日本国内でご存知の方はまだまだ少ないかもしれませんが,TOKYO Jazz Festival 2020に参加予定でした.(そして筆者はコロナウィルスの影響に伴い配信されたTOKYO Jazz plus Live Streamでこの2人の存在を知り,速攻で発売中のCDを全て買うという暴挙に出たのでした.)
C-777ではそれぞれの楽器が比較的小音量で演奏しているときと比べ,フォルティッシモなどの力のこもった演奏で音が団子になるような印象が否めませんでしたが,DCD-A110ではそういった場合においても非常に高いレベルでの分離を実現しています.
ただ,聴き始めた一瞬でのストレート感というか,音像がクッキリハッキリした印象はC-777が強く出ると思います.
また,「録音環境でのリバーブの消え入るまで」とか,「演奏が始まるまでの間の物が当たる音や人の声」のような微細な描写はDCD-A110に軍配があがります.(それを比較することが酷という意見は百も承知です.)
Deadmau5 - Seeya
少し趣向を変えてダンスミュージックを聴いてみます.
コレが意外で,エレクトリックベースのゴリッとしたテクスチャはC-777のほうがクッキリとしていて硬さがあります.それに比べるとDCD-A110はソフト.このあたりはNE以前のDENONの傾向を受け継いでいると言えるかもしれません.このソフトさは人によっては好みではないと感じるかと思います.
もちろん,レンジの広さやシンセ音の粒立ちのキメ細やかさについてはDCD-A110が上を行きます.
総評
気まぐれサラリーマンオーディオブロガーである筆者が言うのもおこがましいと感じるところではありますが,「ハイスピードなのにソフト」「空間が広いのに薄くない」「高い描写力があるのにこれ見よがしでない」という,相反しがちな要素を高次元で両立しているプレーヤーだと感じます.
特に「ハイスピードなのにソフト」という点においては,国内メーカーでは今まで無かった傾向ではないでしょうか.ソフトな音質ではLUXMANが第一に出てきますが,あちらはどちらかというとマッタリした印象で「ハイスピード」といった感覚はあまり無いです.
海外メーカーでは試聴した限りだとSimaudio MOONが「ハイスピードでソフト」と感じますが,DENONの方がソリッドです.アンプ以降が同じ環境なので,ほぼ間違いないかと思います.
おそらくこの傾向であれば,REシリーズ以前のDENONと比べてケーブルなどのアクセサリとの相性も悩みは小さくなるかなと思います.
個人的にはC-777よりも全体的に落ち着いて聴きやすくなりました.筆者にとって初めてのSACD対応機でもあるので,SACDはどんな音質なのか,SACD/CDハイブリッドの比較など気になるところです.
5年間の無償保証もありますので,末永く付き合っていこうと思います.
補足
Pure Directモードですが,こいつが非常に効きます.
ディスプレイ及びデジタル出力部の電源をオフにするという機能ですが,S/Nが向上し,より耳障りでなくなります.
ユーザーの利用用途によっては不便に感じることもあるかもしれませんが,リモコン及びフロントパネルの一連の動作に対する応答性が損なわれることはないのでデジタル出力を使うことがなければ常時オンでも良いかと思います.
追記
2022/01/06 使用後1年レビューをブログに記述しました。
以上,DCD-A110のレビューでした.
ラックにギリギリ収まる重量で良かったです・・・・
ラックの買い替えもいい加減に検討しなければいけませんね・・・・
そういうところも含めて,長く使っていけたらと思います.
ひょっとしたら,最後のCDプレーヤーになるかもしれませんし(日本だとその可能性は小さいとは思いますが).
最後に,「筆者の学生オーディオ生活で多くの感動を与えてくれたC-777に盛大なる感謝」を述べて2020年最後のブログ記事としたいと思います.
2021年もどうぞよろしくお願い申し上げます.
次回の記事も乞うご期待です.
それでは.
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