[オーディオ雑談] MQAとMQA-CDについて所感

皆様こんにちは!Nony(  )です!

早速ですが読者の皆様に質問です.

「MQA,聴いていますか?」

MQAって何?

MQAって,一体何なんでしょうねぇ・・・・
筆者からすれば,「謎の多いオーディオコーデック」です.

"Master Quality Authenticated"の略称で,"Music Origami"なる独自技術でハイレゾ音源を圧縮し,再生時に展開できるらしいです.

この"Music Origami"なる技術を用いることで,非常に小さいファイル容量にハイレゾ音源を格納するのが可能とのこと.

ただし,展開しての再生にはMQAに対応したソフトウェアないしはハードウェアのデコーダーが必要という,投資のかかる方式でもあります.
さらにはそのデコードにも「コアデコード」と「レンダリング」の2段階があり,組み合わせによって展開されなかったり,途中まで展開されたり,完全に展開されたり・・・・となんだかややこしいです.

筆者の環境

いちおう筆者のオーディオ環境では,TEACのNT-505がMQAを完全に展開しての再生が可能です.

ちなみに,1台で完全にMQAを展開して再生できる機器を「フルデコーダー」と呼びます.





拭えない違和感

筆者はこのMQAに対し,どこか払拭しきれない違和感が常々ありました.

その違和感は何なのか筆者なりにこの記事の執筆にあたって整理してみたところ,主に以下の3項目が大きく引っかかりました

  • 収録方式に限って言えば非可逆圧縮およびその補間(アップサンプリング)と考えられること
  • 上記のように技術情報に関する公開情報があまりにも抽象的であること
  • 日本国内においてはMQAよりもMQA-CD対応であることが重要視されているように見えること
この記事では上記3項目に焦点を当てて筆者なりの所感をまとめていきたいと思います.

おことわり

この記事はMQAおよびMQA-CDの存在意義を否定・肯定するものではなく,あくまでMQAやMQA-CDの筆者との向き合い方や筆者なりの考え方を記すだけのものです.

筆者自身もMQAは聴いていますし,アーティストやレーベル側が意図してMQAの収録を行っている以上その存在意義を否定することは無意味でしかないと筆者は考えています.

アーティストがMQAの効果を認めていて,そのままの音を聴きたいのであればMQAを聴けばいいですし,精神衛生上非可逆圧縮であることが嫌なのであればロスレスを聴けば良いと思います.

このことを踏まえて以下の内容を読んでいただけますと幸いです.

収録方式

こと日本においては「MQAで今までよりも小さい保存容量でハイレゾが聴ける!」という宣伝ばかりが先行していますが,MQAのデータとしての収録は非可逆圧縮であるといわれています.

このことについてはオーディオメーカーが述べていますし,英語ではありますが海外のオーディオファンの間で議論が交わされています.



これが本当に正しいとするならば,「これをMQAデコーダーで展開して再生する」ということは,すなわち「非可逆で圧縮されたデータをハイレゾ音源として再生する」ということになります.

この図式,どこかで見たことがある人もいるのではないでしょうか?

そうです.言い方を変えれば「MP3などに代表される非可逆圧縮音源をアップサンプリングして再生する」ことと同義になります.

これを果たして「ハイレゾ音源」と言って良いのか・・・?個人的に大きな疑問ではあります.

公開情報の曖昧さ

MQAはその技術に関する説明があまりにも曖昧すぎると筆者は考えています.

"Music Origami"という言葉を作るまでは良いとして,それを動詞に変形させて内部情報に一切触れていません(「Music Origamiによって~~~」とかそんな文言が目立ちます)

まぁ知的財産とか秘密保持とかいろいろ大人の事情があるのだとは思いますが,もし特許として"Music Origami"の技術を保有しているのであればそれを他メーカーがそのまま模倣することは法律的に許されませんし,なぜここまで頑なに技術説明を曖昧にしようとしているのか,筆者には不思議でしかありません.

MQAよりMQA-CD

日本においてはさらに不思議な現象が起きています.

是非はともかく,これだけ業界としてMQAが注目されているわけですから,オーディオメーカーや専門店も注目せざるを得ません.

以下Youtubeビデオをコメント含めじっくりとご参照ください.



MQAに関して何も述べていないSACD/CDプレーヤーにまでMQA-CD対応か否かのコメントが来るくらいには注目しているユーザーもいます.

これは日本独特の事情があると筆者は考えていて
  1. 海外に比べて圧倒的にCDの需要が高い
  2. 過去に発売されたCDがMQA-CDとして日本国内で復刻された
  3. MQAを聴くことのできるサービスが日本国内では少ない

特に1の影響は大きく残っていると思います.現に,音源ダウンロードサービスのe-Onkyoでは非常に豊富な音源がMQAでダウンロード可能になっていますが,進んで買っているという声は聞きません.

また,詳細は割愛しますが,ストリーミング含めたファイル再生でMQAのフルデコードを実現するには「ハードウェアによるフルデコーダー」か「ハードウェアによるコアデコーダー&ハードウェアによるレンダラー」か「ソフトウェアによるコアデコーダー&ハードウェアによるレンダラー」の3つの再生手段を選択する必要があり,機械に詳しくないユーザーからすればこれは困惑の原因でしかありません.

それに対しMQA-CD対応CDプレーヤーはそれ自体がフルデコーダーであるため,音質以外の要因で悩む必要がありません.これらの要因が相乗効果を生めばそりゃMQA-CDへの注目度はMQAファイルのそれに比べて必然的に高くなるかと思います.

MQAとMQA-CDの今後

コレまでの内容をもとに,MQAとMQA-CDの今後について,筆者の所感,というか予想を書いておきたいと思います.

MQA

MQAそのものはなんだかんだで残ると見ています.その理由ですが
  1. 既存の再生環境そのものに対して破壊的ではない
  2. なんだかんだでDSDは残っている
  3. デコーダーのメーカー対応に対し積極的である
上記の3つが挙げられます.

特に1は技術的側面で見ればなかなかに先進的だと思っていて,ユーザー側がMQA対応機器を持っていなくてもファイルの再生そのものは可能です.DSDだとそういうわけにはいきません.

これにより,MQA対応機器を所有していないユーザーも購入するファイルがMQAでエンコードされたものかどうかを気にする必要はないわけです.(実際に気にするかどうかはさて置き)

これらを踏まえてもDSDはその再生においてMQAに比べて圧倒的にハードルが高かったはずですが,なんだかんだでファイルフォーマット,対応機器ともに残っています.

さらには,各オーディオメーカーのMQA対応が積極的です.かつては囲い込みに必死であったあのSONYでさえ採用するくらいには.

これらの状況を踏まえれば,DSDでさえ残っているのですからMQAもファイル・再生機器ともに残ると見ています.

MQA-CD

こちらはファイルに比べて普及はしないと筆者は予想します.その理由は
  1. HDCDが同じ道をたどった
  2. SACDも同じ道をたどった
  3. 新譜のMQA-CDがファイルと比較して出ていない
HDCD,SACDともに言い出しっぺがやめる(あるいは積極的でない)という有様です.

SACDはCD層があって一般的なCDプレーヤーでも再生できる構造がとられましたし,HDCDもデコーダがない場合は通常CDとして再生できましたが,今よりもCDが普及していた時代にも関わらず普及しなかった.

ただ,「消えるか、残るか」と問われると現時点では予想し難いです.SACDのように細々と残り得る環境にあるとは思いますが,SACDもプレーヤーそのものが少なくなってきています(今でもメカを作っているのは日本くらいだと思います)し,CD・SACDは日本発ですがMQA-CDはそういうわけではないので,これまでといろいろ状況が違うと思います.

いずれにせよ

MQAというコーデックの登場については,技術の発展という側面で見て歓迎されても良いと思いますし,結局の所ユーザーが聴いてみて気に入ればそれでいいのかなと思います.

少なくとも筆者は「MQA-CDがないから購入しない」とかそういった考えはありませんし,購入したメディアやファイルがたまたまMQAでエンコードされていようがいまいが気にしません.

これからMQAが,MQA-CDがどんな道を辿るのか,いちオーディオユーザーとして眺めていようと思います.

ちなみに

LINNは違った視点で真っ向からMQAを否定しています.

要約すると「MQAは『高音質』という名のもとにユーザー,メーカー,アーティストやレーベルというあらゆる方面からライセンス料を徴収するビジネスでしかない」という感じでしょうか.

そのまま当てはめればどこかの構図にそっくりですね.

日本で言うJAs・・・・(以下略)

以上,MQAおよびMQA-CDに対する筆者なりの所感でした.

久々にかなり長い記事となってしまいましたが,最後まで読んでいただき誠にありがとうございます!

筆者は最近CDやレコードを買いすぎてしまい節約の必要が出てきました・・・・w

コロナも回復の兆しが見えてきてい(る気がし)ますし,早くオンサイトでのイベント参加を含めて今まで通りのオーディオが楽しめる日が来ることを待ち望むばかりです.

次回も乞うご期待です!
それでは.

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