[レビュー] Infomedia Lotoo Paw S1を購入・レビュー!

皆様こんにちは!Nony(  )です!

ワクチンも接種が少しずつではありますが前進し,東京インターナショナルオーディオショーを完全予約制で現地開催するなど,少しずつ今までの環境が戻ってきつつあります.

そしてNonyも今後出張や旅行が増えてくるかと思いますので,出張先や旅行先のホテルで手軽に使えるUSB-DACアンプを購入しました!




選ばれたのは「Paw S1」でした.(どこかのCM風)

今までのポータブルUSB-DAC

筆者,実は今まで旅行先のポータブルUSB-DACにAudioquestのDragonFly Blackを使っていました.


ドライバーレスで動作し,96kHz/24bitまでのPCM再生,ファームウェアアップデートによる機能追加など非常に便利で,なおかつ筆者の平面振動板ヘッドホンであるHifiman HE400iを軽々と鳴らすくらいにはハイパワーで高音質でしたので大変気に入っていたのですが,

今でも96kHz/24bit対応のままであること(192kHz以上やDSD非対応)や,本体の重量でUSB端子にかかる負荷が非常に心配であること,そして数年の使用で塗装が加水分解したこと(最もショックでした)から,今後より拡充されるであろうハイレゾ音源のフォーマットへの対応も見越して新調することにしたのでした.

選定条件

新調するにあたり,以下の項目を選定条件に選びました
  • ケーブル分離式(本体からUSB端子が直接飛び出ていない)
  • 最低でも192kHz/24bit,DSD64対応
  • USB Audio Class 2対応
  • バスパワー(できれば.バッテリー持ち時間が短いのはアウト)
  • Windows PCでの動作確認が取れているもの
  • 3.5mmアンバランス出力を持つもの(バランスオンリーとかもってのほか)
で,調査すると意外と無いんですよコレが.

「バスパワーでケーブル分離式でハイレゾ音源対応のUSB-DAC搭載アンプ」そのものはそこそこ出てくるんですが,大手メディア,ショップ,個人のレビュー記事を見ているとそのどれもが「Androidスマートフォンとの組み合わせ」で,PCと組み合わせて利用したレビューを見つけることはできませんでした.

メーカーさんもそのあたりはだいぶ強く意識されているようで,商品の紹介画像の多くはスマートフォンやタブレットとの組み合わせが多いように感じました.

それだけならまだ良いのですが,WindowsやMac OSなどのPCとの接続についての言及すら製品紹介にありません.

「再生機器としてのPCの存在意義はついに終焉を迎えたのだな」としみじみ感じる反面,「USB採用してるならそのあたりもしっかりしてくれ」とも思います.なんか複雑な心境です.

で候補として出てきたのは以下5つです.

Luxury&Precision W1

Luxury&Precision W2

Infomedia Lotoo Paw S1

Shanling UA2

Chord Mojo


で,さらに絞っていくと

Luxury&Precison W1→取り寄せで納期1ヶ月と待つためナシ
Luxury&Precison W2→入手性低すぎてナシ
Chord Mojo→音質や出力でいろいろ癖がありそうなので今回は見送り(バッテリーだし)
Shanling UA2→USB Audio Class 1という(今さらありえない)仕様なうえ,機能を全て使うには専用スマートフォンアプリが必要.ナシ.

で,自ずとPaw S1しかなくなったわけです.

毎回思うのですが,試聴するまでもなく仕様で選ばざるを得ない状況が多々生まれるのは筆者だけですかね・・・?それとも筆者の選定基準が厳しすぎたり時代遅れだったりするのでしょうか・・・?

開封

6月日に届きました.臨時収入で2万円のギフト券をいただいたので実質1万円弱での購入でした.

さっそく開封していきましょう!


今回はビックカメラでの購入です.人気商品のようで,eイヤホン含めその他のショップでは売り切れ,筆者が購入したビックカメラのAmazonショップでも残り3台とかでした.


いざ封筒を開封するととってもコンパクトな箱が出てきました.筆者の手より小さいです.


握るとこんな感じです.

それでは,箱を開けてみたいと思います.

中身はこんな感じです.今回はUSB-Cケーブルのみ付属のものを購入しました.中身は本体,取扱説明書,保証規定,ステッカー,ファームウェアアップデートの方法,そして最下部にUSB-Cケーブルです.


とても小型です.アルミ削り出しで大きさの割に重みもそこそこあります.前面部にはLotooのロゴとディスプレイがあります.


本体操作部です.ファンクションボタンと音量ボタンがあります.ちなみに音量ボタンはファンクションボタンで表示した機能のオン・オフ切り替えの役割も持ちます.


裏面には各種規格のロゴや商品名,シリアルの書かれたバーコードがあります.写真では隠していますが,シリアルのバーコードはシールなので印刷の剥がれや劣化による見た目の悪化が気になるところです.


ヘッドホン出力端子は3.5mmシングルエンドおよび4.4mmバランスです.この小さいボディに4.4mmを詰め込んできたあたり,驚きました.


箱の最下部です.ケーブルが収まってた窪み以外にもう一つ窪みがあります.おそらくUSB-C→USB-Aの変換アダプタが収まる箇所かと思います.日本版には入れていないんですかね・・・?

初期設定

筆者の購入時点で新しいファームウェアが適用可能となっていたため,初期設定としてファームウェアアップデートを行いました.

方法として,ファンクションボタンを押しながらPaw S1本体とファームウェアをダウンロードしたPCを接続し,認識された記憶領域にダウンロードしたファイルをドラッグ・アンド・ドロップすれば自動的に更新が始まります.

なんとまぁ,これが・・・・・
速い!

これまでのこういったデジタル機器のファームウェアアップデートはダウンロード,更新,再起動など,いくら短くても数分はかかる印象がありました.

しかし,このPaw S1,ドラッグ・アンド・ドロップしてから1秒経たずにアップデートを完了させました.

この時点で筆者のPaw S1に対する印象は大きく向上しました.
InfomediaといえばNAGRAの業務用機器を開発・生産するメーカーで有名であることはこのブログの読者の皆様であればご周知の通りかと思います.

最初のポータブルプレーヤーのPaw GOLDなども起動がとても高速であることで当時は非常に驚きの声があがったものですが,このPaw S1においてもどうやらそのあたりの作り込みは抜かり無いようです.

また,往年のPCオーディオを経験した身からすればさらに驚いたのが
ドライバーレス!

特にWindowsでは数年前までOSがUSB Audio Class 1.0までしか対応しておらず,ハイレゾ音源やDSDの再生にはドライバーは必要不可欠なものでした.

それがドライバーレスで,しかもドライバーが必要だったときよりも多くのフォーマットの再生に対応できるとは,時代は進化したものです.

さっそく聴いてみる

まずはイコライザーを何も設定しない状態で聴いてみます.

接続するヘッドホンはHifiman HE400iならびにDENON AH-D1200で,シングルエンド接続です.

まず再生して気づくのは、「音量の小ささ」.初期設定でローゲインとなっていますが,昨今のハイレゾ音源対応ポータブルプレーヤーの出力する音量を想像するとちょっと拍子抜けするかと思います.

ハイゲインでHE400iを鳴らしたときの筆者の音量が40,曲によっては35とかでした.
あまりに低感度だったりインピーダンスの高いヘッドホンだと音量が取れない可能性がありますのでここは要注意ですね.

しかし,先述したように昨今のスティック型USB-DACが「スマートフォンと組み合わせてイヤホンで聴く」というユースケースを想定していることを考えれば少々仕方がないかもしれません.(イヤホン程度の感度であればこのパワーで十分です.)

ということで気を取り直して再生です.
今回は筆者の想定使用環境に基づき,ラップトップPCに接続してサブスクリプションサービスの音源や自身のライブラリをFoobar2000から排他モードで再生します.

最初に聴いた印象としては非常にバックグラウンドノイズが小さく,AH-D1200などのような比較的感度の高いヘッドホンでもノイズを感じません.

そして全体的にフラットな帯域バランスでありながらも,くどくない程度に全帯域にわたって厚みがあり,個人的には少し「面白い」と感じる音質です.

今まで筆者が使用していたAudioquest Dragonfly Blackとは真逆で,こちらのほうが接続するヘッドホンやイヤホンは選ばないと思います.Dragonfly Blackも嫌いではないんですが,中低域にだいぶ厚みがあるのと,全体的に少し粗く若干ノイジーに感じます.あとついでに言ってしまうと音量調整がシビアでした・・・(わずかのスライドで音量が「ガン!」と上がります)

ハウスやトランスなどのダンスミュージックではドラムの小気味良く切れ味鋭いドラムが鳴り,シンセ主体のポップではその煌めきが心地よいです.

筆者はLotooがハイレゾ音源対応プレーヤーを出し始めて間もない頃にPaw5000を試聴したことがありますが,業務用派生の正統派な,ヘッドホンを選ばない素性の良さはしっかりと現在においても引き継ぎつつ,それらほどシビアにならないこのバランスの良さは個人的になかなか気に入りました.

イコライザ機能

このPaw S1ですが,イコライザオフを含め全15種類(!)のプリセットイコライザを持っています.

筆者が特に感心したのは

そうです.ヘッドホンと組み合わせることを想定したプリセットです.
ホテルの部屋など比較的静かな場所では,AH-D1200との組み合わせにおいて少々こってりに感じてしまいますが,新幹線の客席のようなノイズの大きい場所ではかき消されやすい帯域の音がいい感じに持ち上がり,総じてフラットなバランスに感じます.

その他音楽の種類に合わせたプリセットやスピーカーとの位置に合わせたプリセット,シーン(ラジオ,ゲーム,映画など)に合わせたプリセットがあり,使いこなせばあらゆるコンテンツでオールマイティにその底力をいかんなく発揮できると思います.

難点

使ってみて少し不便に感じた点もあります.

最も改善を要求したいのは,各種機能の遷移がボリュームボタンでしか行えない点です.
特にイコライザ機能では,一度設定したものをオフにするためにボリュームボタンを押してプリセットを順方向あるいは逆方向に周回せねばなりません.

個人的にはイコライザのオン・オフとプリセットの切り替えは別設定にしてほしいと感じます.

あと,これは筆者のユースケースですが,PCと接続した際の本体の操作が少々窮屈に感じます.誤操作を起こすとかそういった致命的なレベルではありませんが,良くも悪くもプライマリー・ユースケースは「スマホとの接続」かなと感じました.

この2点以外は現状不満ありません.ケーブルや本体ボディもしっかり高品質で指紋も目立ちにくく,この手の商品で比較的高価な部類に入るだけの価値を筆者は感じました.

以上,Lotoo Paw S1のレビューでした.

現状,Audioquest Dragonflyからの乗り換えとして満足しています.
このボディの仕上げであれば加水分解も起こさないでしょうし,PCMも384kHzまで対応と,現在の楽曲フォーマットの流通を考えれば数年間はちゃんと使える品質を備えていると思います.

少々値は張りますが,出先でスマホやPCと接続して高品質な音楽を楽しみたいということであれば是非検討してみてください.

特にサブスクリプションサービスを組み合わせた再生は,ハイレゾ音源DAPよりもスマホのほうがインフラの面でまだまだ強いと思いますので,よりこのPaw S1が活躍する場面が多いかと思います!

今回も最後までお読みいただき誠にありがとうございました!
次回も乞うご期待です.

それでは.

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