[レビュー] GaNスイッチング電源のレビュー

皆様こんにちは!Nony(  )です!

近年,スイッチング技術を使うオーディオ機器(クラスDアンプやスイッチング電源など)で話題になっている技術があります.

それがGaN (Gallium Nitride:窒化ガリウム)を使ったトランジスタです.

今回,光栄なことにGaNを使ったACアダプタを試す機会がありましたので,レビューしたいと思います.

GaNとの出会い

筆者が始めてGaNを知ったのは3~4年ほど前です.

Technicsが復活と同時に発売したアンプがクラスDアンプで,しかもGaN-FETを使っているという話題性はとても大きいものでした.

その後オーディオ用アンプにGaN-FETを採用するメーカーは続かず,その後は比較的話題も落ち着いていたように感じます.

しかし,USB-Type C規格およびそのケーブルを利用した高速充電技術であるPD(Power Delivery)の誕生により,小型で高出力なUSB充電器の需要が高まると一般家庭向けにGaN-FETでスイッチングする充電器が市場に出回り始めました.

GaNに対する期待

オーディオにPCやネットワークプレーヤー,ネットワーク機器などのスイッチング電源を想定したアプリケーションが出てきている以上,これらにGaNを試す人が出てくるというのはある意味で自然な流れだったのかもしれません.


所々でGaNスイッチング電源をいち早くオーディオ環境に取り入れて試した方がいらっしゃるようで,評判も悪くありません(少なくともネガティブな印象は聞きません)

ただ,充電器としては比較的高価なことは変わりなく,試したいなとは思いつつも何故か先延ばしにしてしまっていました(音質的に失敗してもPCの充電器として使えるので損失は小さいはずなのですが・・・)

そんな中,とある方からご厚意で「試してみます?」とお借りすることができましたので,実際に試してレビューしていきたいと思います!

紹介


今回,埼玉県のPRaT Sound (  )様より試聴機(GaN充電器および周辺アクセサリー)をお借りしました.

諫早にありますオーディオラボ様の製品の販売を含め,スイッチング電源などの機器に対する探究も熱心にされております.

PRaT Sound様,貴重な機会を誠にありがとうございます!

試聴機

今回,以下の試聴機をお借りすることができました.
  • RAVPower RP-PC128


  • PRaT Sound GRV-RISER PD12


  • PRaT Sound GRV-RISER


今回は純粋にGaNとSiC(Silicon Carbide:炭化ケイ素)の違いをざっくりと把握するために,RP-PC128と一般的に販売されている下記の12V PDトリガーケーブルを使ってレビューしていきたいと思います.


なお,供給電力の違いなどを合わせるのは限界がありますので厳密な比較レビューの要求はご容赦ください.

使用箇所

トリガーケーブル使用時は12Vでの供給となりますので,筆者のオーディオ環境で唯一12VDCで動作している無線LANルーター(TP-LINK Archer A2600)に使用して比較します.

比較対象はArcher A2600に付属のACアダプターです.付属のACアダプターは極性が不明なため,筆者が好印象な方向での使用時を比較対象としたいと思います.



なお,USB PDによる電源供給は出力電流が最大3Aで規定されていることに注意し,「接続先機器の電流容量の電流が3Aを超えないこと」「トリガーケーブルからの出力が接続先機器の定格電圧と一致すること」を確認してから使用するようご注意願います.


試聴楽曲

まんべんなく聴きます.

deadmau5 & Rights - When the summer dies


宇多田ヒカル - 荒野の狼


MUSE - Time is Running Out


Curoe - Meditation


GoGo Penguin - Atomised


上記5曲含めその他もろもろ聴きました.

総評

筆者がこれまでに電源環境に手を入れたときに得られたような変化とはまた違った方向で,当初の予想とは異なる「新感覚」でした.

これまで,筆者のオーディオにおいて電源環境の変化が良い方向へ影響した場合,「高域が耳に刺さらなくなる」「声に余裕が出る」「低域の沈み込みが増す」「聴こえなかった音が聴こえるようになる」といったような,「特定の帯域」「特定の楽器・声」「特定のタイミング」での変化を感じていました.

それらと比較して,今回のACアダプターの交換はもっとマクロ的と言いますか,「あの音が」「この帯域が」「このタイミングで鳴ってる音が」という変化よりもまず先に出てきた言葉は
「ダイナミックレンジ」
でした.

全体的に音の大小差が一周り,二周りほど幅広く確保されて,適度な暖かみと柔らかさを伴ってスピーカーから奏でられます.

この後に標準のACアダプターに戻すと,相対的にクールでダイナミックレンジに余裕が感じられず,異物が引っかかってるかのように感じられます.

また,「マクロ的」という言葉を記しましたが,筆者が最も驚いたのは上記の変化が特定の音や帯域などではなく,再生される音楽全体にわたって感じられるということです.

「スピード感」や「音の濃さ」「芯の太さ」においては純正ACアダプターに分があるように感じる場合もありますが,音量差の表現,広がり,聴きやすさ,微細な表現の正確さ,立体感,背景の静けさなど多くの点においてGaN ACアダプターに軍配があがると感じました.

実際に試してみて

よくよく考えると,これまでの筆者のオーディオ遍歴において「ACアダプターによる音質変化を確認する」という経験は今回が初めてでした.

これまで交流電源関係に気を使ってはいました(音質というよりも落雷などに対する保護を優先する意味)が,ルーター(もしくはスイッチングハブ)の直流電源も,ネットワークオーディオにおいてデジタルデータが必ず通過することを考えればその品質が音質に効いてくるのも頷けます.

今回レビューするまでは「そんなに大きな変化はしないだろう」と予想していましたが,交流電源とはまた違った方向で大きな変化を感じることができました.

個人的にこの変化は良い方向で予想を裏切るものであったため,真剣に導入を検討したく思います.

以上,GaNを使用したACアダプターを筆者のルーターに使用したレビューでした.

今回のGaN ACアダプターの使用は個人的に求める音質にかなり近づく変化でした.
ユーザーによってはこの変化を作為的と感じるかもしれませんが,この方向での変化は受け入れられやすいのではと感じます.

オーディオに対する変更としては比較的安価に済むものかと思いますし,先述の通り好みでなかった場合はスマートフォンなどの充電器として使うこともできますからリスクも大きくないと思います.

GaN ACアダプターの導入を少しでも検討している皆様にとってこの記事が少しでも参考になれば幸いです.

今回も最後までお読みいただき誠にありがとうございました!
次回も乞うご期待です!

それでは.

  お問い合わせ

コメント

  1. GaNの音、新鮮ですよね!
    私も動画で、オーディオへの導入を紹介しています。
    よろしかったら、ご覧ください。
    https://youtu.be/2j1O_s9suZA

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    1. 百十番様,コメントありがとうございます.
      これまでの電源環境のアップデートとはまた異なる変化でとても新鮮でした!

      出力もSiCに比べて大きくしやすいのでこれがオーディオ機器のデジタル電源に採用されたらもっとコンパクトで音質も良さげなものが出てくるかもですね.

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