[報告] さよなら,レコード
皆様こんにちは!Nony( Follow @Nony________ )です!
記事タイトルの通り,決断いたしました.
「再生環境をネットワークとCDに絞ります.」
経緯
このブログの読者の皆様は数回筆者の記事で見かけたかと思いますが,ここ数ヶ月感の筆者はレコード再生から遠ざかっていました.
そんな中で色々考えたのですが,今後の筆者のオーディオ環境の未来予想図を描くたびに「レコード環境」では未来予想図が描ききれませんでした.
ということで,未来予想図が膨らんでいるネットワークオーディオに絞る方向に再生環境を整理します.
ちなみにですが,CD再生環境は「DCD-A110が最後」ということで購入したので当初から未来予想図が存在しません.
オーディオという趣味なので「それでもレコード再生環境は必要だ!」と主観で捉えるのも良いのですが,それで結局使っていない状況が「今」であり,客観的に述べてしまうと「宝の持ち腐れ」です(筆者の持ち腐れている宝の価値はさておき).
そんなことをするよりも筆者としては描いている未来予想図を実現するために貯金しておきたいですし,使っていない機材たちも他のユーザーに使ってもらったほうが嬉しい(はず)というもの.
よって,放出します.
未来予想図を描けない理由
ここで,レコード再生環境の未来予想図がなぜ描けないかを筆者なりに考えてみました.
その結果,以下の3つが頭の中にその理由として出てきていることがわかりました.
- 再生の面倒くささ
- トータルでの再生環境コスト
- 商機的な音源の流通方式
1. 再生の面倒くささ
ネットワークオーディオのあまりにもスムーズな再生までの手続きを知ってしまうとレコードの再生が面倒くさいというのは否定しようのない事実です.
また,CD,レコード,ネットワークと一通りの再生を試してみて,「筆者にとって再生ソースは手段の範疇を超えない」(音質が手段を選ぶ理由にはなり得ない)という経験を得ることもできました.
正直な話,社会人になってからレコードを聴く時間が無いです.ここ最近は特に.
2. トータルでの再生環境コスト
レコード本体に加え,レコードの再生環境もなんだかんだ高額になりがちです.
まず,ランニングコスト.
レコードは再生前後に静電気やホコリを取り払ったり,カートリッジの針についたホコリを取り除いたり,レコードをクリーニングしたり,スタイラスを交換したりとメンテナンスツールが欠かせません.
特に,湿式のレコードクリーニングツールは消耗品ですから再生頻度がそのままランニングコストに直結します.
そのうえレコード本体もなかなかのお値段で,同タイトルのCDの1.2~1.5倍程度の発売価格がかかります.
さらに,「もしグレードアップするなら」と考えるプレーヤーやカートリッジを今後揃えるのに少なくとも50万円はかかりそうです.
正直なところ,「レコード再生にそれだけ投資するならネットワーク再生環境に集中したい」という思いが勝ってしまいました.
3. 商機的な音源の流通
過去に「パッケージメディアとストリーミングの共存戦略」という中二病満載の記事を書きましたが,
筆者自身,心境の変化が起きており,レコード(というかCDも若干)が「コレクターズ・アイテム」と化しているのではないかと思い始めました.
ハイレゾ音源が出始めた当初は,「ハイレゾ音源がCDよりも高い」なんてことはまずあり得なかったのですが,
また,
「CDと限定付録は抱き合わせ」「CDの限定付録がレコード」という,どこぞの「BDの限定付録がUHD-BD」みたいな商法が始まりつつあります.(いやCDのみ,レコードのみで売ってくれよ!w)
筆者自身そういった「コレクターズアイテムを集める」ことに対しては執着がありません(置き場所に困りますから).
ここでも筆者にとって「再生ソースはあくまで手段でしかない」と再認識できました.
そして,レコードは「現在の筆者の生活様式に沿った再生手段から最もかけ離れている」という結論に至りました.
これらが,今後のオーディオ環境において「レコード環境の青写真を描けない理由」ひいては「レコード環境から撤退する理由」になります.
レコード再生の思い出
筆者のレコード歴はおよそ3年半となります.
最初は父の所有していたレコードをアパートに持ち帰っては聴いていた感じですが,そのうち好きなアーティストのアルバムのレコードが無いか探して購入するようになっていきました.
当時はCDプレーヤーもファイル再生環境もアンプもスピーカーも今ほど整ったものではありませんでしたし,レコード再生そのものが未体験だったこともあってその新鮮で有機的な音に惚れ込んだものです.
特にGoGo Penguinなんかは,タイミングよくレコードで音楽を聴き始めたときに認知したアーティストですので,レコードでも頻繁に聴いていました.
次に,再生環境については学生のころにLINN LP12という,レコード愛好家であれば知らぬ者はいない「パーツを自由自在に組み合わせて作り上げることができ,しかも発売当初から基本設計の変わらない」レコードプレーヤーに出会い,「いつかはコレを買うぞ」と目標にしたのでした.
しかしこのLP12,ここ数年で関連部品の高騰やトーンアーム供給先変更の煽りを受けてしまい価格が暴騰し,一番基本的なMAJIK LP12で40万円台だったものが60万円近くにまでなってしまいました.
また,MAJIK LP12は45回転のレコードに対応しておらず(していないわけではありませんがプラッターを外しての作業が必要),ワンタッチでの回転数切り替えにはオプションの外部電源の導入が必要です.
ここまでで合わせて90万円(!!!)近くします.本当にレコードで音楽を聴くことにこだわりのある人でないとこの金額は出せません.
かといって他のプレーヤーでデザイン・将来性(アフターを継続できるか,など)・音質をまとめてしっくり来るものはありませんでした.
レコードの名誉のために
レコード未経験の読者がいらっしゃったらネガティブな偏見を持たぬように書いておきますが,確かに音源としてのレコードの音質は良いと思います.
特にハイスピードで小気味良い低域の微細な表現や頭打ちにならない声の伸びの良さは現在の筆者のデジタルの再生環境でも実現できていませんし,なによりも音の立ち上がり・立ち下がりがスパスパと切れ味良く鳴ります.音になるまでの過程がデジタルとは根本的に異なるが故の違いなのだと思います.
「どうしてもレコードで聴かないと満足できない」「一度CDに移行したけどレコードに戻ってきた」という人がいるのも頷けます.
しかし・・・・
筆者から言わせてみればレコードの利点って「音質だけ」です.他のレコードをしている人に「ネットワークオーディオに勝るレコードの利点ってなんですか?」と問うても返ってくる答えはやはり「音質」です(他に強いてあげるなら「ネットワークオーディオはトラブルが多くてダメだった」くらいです).
特にRoonやサブスクリプションのストリーミングサービスが良い例だと思いますが,ランニングコストの分だけ未知のアーティストや音楽に出会ったり,アーティスト以外の関係者つながりで別の曲を見つけ出せるといった新たな体験というのは,今後レコードによってもたらされることは無いでしょう.
また,筆者の音源の購入を振り返ると,この記事を書いている2021年8月において
- CD+レコード+配信(ダウンロード・ストリーミング)
- CD+レコード
- CD+配信(ダウンロード・ストリーミング)
- レコード+配信(ダウンロード・ストリーミング)
- 配信(ダウンロード・ストリーミング)のみ
はありますが,「CDのみ」「レコードのみ」というのは筆者の聴く音楽にはありません.
この状況でパッケージメディアを買うとしたらCDかレコードか,個人的にはハッキリと「CD」と言えます.リッピングによってネットワークオーディオの環境に取り込むこともできますから.
そしてこの状況を総合的に考えた結果,もはやレコードを買い続ける理由は筆者にはありません.
ただ,この判断ができたのもレコードという再生環境を続けたが故だと思います.したがって,コレまで聴いてきたレコードたちやレコード再生環境には感謝しかありません.
ありがとう,レコード.
そして
さよなら,レコード.
こんな筆者のことなんて忘れて,ちゃんとレコードを愛してやまない人々のもとでその役割を全うしてほしいと思います.
以上,レコード再生をやめるという報告とその判断に至った経緯の説明でした.
オーディオを始めて比較的浅い時期からレコード再生を経験できたこと,そしてその時期がレコードの売上数増加の時期とたまたま重なっていたことは非常に恵まれたことだと思います.
そしてこの判断が「大きな前進だった」と言えるよう,そして後々後悔を生まぬよう,筆者にとって最善の環境とするべく今後も試行錯誤していきたいと思います.
非常に文量の多い記事でしたが,今回も最後までお読みいただき誠にありがとうございました!
次回も乞うご期待です!
それでは.
はじめまして。
返信削除Twitterでこの記事を知って、読んで触発されて、私もブログの記事をまとめました。もちろん、リンクも張らせていただきました。
https://globalaudio.info/post-2488/
百十番様,はじめまして.
削除別途記事にまとめていただき誠にありがとうございます.
DSDすらも意図して購入されていないとのことで,更に驚きました.
今後とも百十番様のブログをチェックしていきたく思いますので,何卒よろしくお願い申し上げます.
ありがとうございます!こちらこそです!
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