[雑感] あなたがネットワークオーディオで成したいものは何ですか?

皆様こんにちは!Nony(  )です!

4月になりました。新年度です。
筆者は万年雑用係の3年目に突入しました。

今年度も筆者のオーディオ模様を包み隠さずブログにてお届けできればと思いますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます!

先日、夜ふかしのテンションに突入した手前、以下のようなツイートをしました。

当ブログでもネットワークオーディオ購入に際し注意点を述べてきた(以下ブログ記事終盤など)つもりではありますが、


そういえばその経緯や根拠については一つの記事にまとめた記憶がないため、先のツイートで誤解を生まぬよう、改めて記事にしたいと思います。

「楽にはじめられる」ものではない

まず皆様にお伝えしたいことが「ネットワークオーディオは”楽に”始めることができるものではない」ということです。

いきなりハードルを上げるような発言となってしまいましたが、「楽に」というのがミソで、「ネットワークオーディオ機器は、CDプレーヤーやアンプとは選び方も使い方も再生できる仕組みも全く異なる」という意味です。

あくまで筆者の経験や、筆者のTwitterアカウントの周囲でのネットワークオーディオ導入事例を振り返ると
  • 主にどんな音楽ソースを聴くのか、また今後聴く可能性があるのか
  • どうやって再生機器本体を操作したいのか
  • 本当にネットワークオーディオ機器でないとダメなのか
  • そのネットワークオーディオ機器をどの程度の期間使うつもりなのか
  • ネットワークオーディオ機器を変更するときにメーカーもガラリと変わる可能性があるか
  • (上記の項目をまとめて)ネットワークオーディオの導入によってどんなオーディオライフを実現したいのか
は調査し言語化しておく(←他人に問われたときに答えることができるようにしておく)必要があると筆者は考えています。

つまりは、
「あなたはネットワークオーディオで何を成したいですか?」
ということです。ここがハッキリしないうちは危険も多いと筆者は考えます。

逆に言えば、上記6項目を言語化してそれに沿った機器を調べることができれば、ネットワークオーディオの導入自体は簡単である」と筆者は考えています。

本記事では上記6項目について噛み砕いてその根拠を説明してきたいと思います。



主にどんな音楽ソースを聴くのか

サブスクリプションの音楽ストリーミングサービスがネットワークオーディオ機器本体のみで聴けるようになるまでは、この質問は存在しませんでした。しかし、今では違います。

「ネットワークオーディオ」なるものが出た当初から今でも可能な「NASに保存した音楽を聴く」(←ユーザー自身がファイルとして所有する楽曲を聴く)ことに加え、SpotifyAmazon Music HDTIDALQobuzDeezerなどのストリーミングサービスがネットワークオーディオ機器との統合を果たしました。

つまり、導入するユーザーがストリーミングサービスとの連携での利用を検討している場合、「ユーザー自身が使おうとしている音楽サービス」の再生に対応したネットワークオーディオ再生機器を選ぶことが必要です。

ごく稀に「ネットワークオーディオ再生機器を買えば必ずストリーミングサービスと連携した再生環境が手に入る」と思われてる節のある方を見かけますが、今でこそ現行のネットワークオーディオ再生機器のほとんどが何かしらのストリーミングサービスに対応するとはいえどそれは拡大解釈しすぎです。

現時点で何かしらのストリーミングサービスに加入されている方はそれに対応する機器を探せば良いですし、加入されていない、または導入後に追加で加入する可能性のある方は最終的に購入を決定する機器に合わせてサービスを選択するのも良いと思います。

また、「ストリーミングサービスとの連携はしない」「自分の持ってる曲だけをネットワークで再生したい」という方は、わざわざネットワークオーディオ再生機器を購入せず、


上記のような機器で事足りる可能性があることも踏まえておいたほうが良いです。詳しくは下記記事をご参照いただけますと幸いです。



どうやって再生機器本体を操作したいのか

「ネットワークオーディオ」と聞くと「スマートフォンやタブレットを用いて再生機器本体を操作するもの」とはすぐに想像できると思いますが、「どこまでできるか」というのはメーカーに寄って千差万別だったりします。

例えばLUMINのように再生などの基本的操作のみならず機器本体の設定も含めトータルでそれら操作端末からできるもの、電源の投入など一部機能はリモコンや本体のボタンから行う必要があるもの、ネットワーク再生機能のみタブレットやスマートフォンからできるもの・・・

再生機器に一度も触れていない状態での言語化は難しいですが、「想像と違う」というのは得てしてストレスになりがちなものです。「実際にユーザーから細かく操作体系を聞いておく」「お店に足を運んで実際に体感する」などして想像と実際の間の隔たりは小さくしておいたほうが良いと感じます。

それも難しい場合はあとにもお話しますがOpenHome対応機器にしておいたほうが後々困ることが少ないと思います。その話はまた後ほど。

本当にネットワークオーディオ機器でないとダメなのか

極端な話、ストリーミングや所有を問わず、デジタルデータの音楽を自身のオーディオシステムで聴くのであればPCにUSB-DACをつなげてしまえばシステムが完成します。

それにも関わらずネットワークオーディオオーディオ機器を導入したい理由は何でしょう?

考えたことのない方は一度考えてみてください。

正直な話、今でもPC+USB-DACよりも「音質以前の問題でポンコツ」なネットワークオーディオ機器は存在します。

それでも「オーディオ機器としての音質」を取りたいのか?それとも「PC+USB-DACと同等以上の操作性・利便性」を取りたいのか?同じ「ネットワークオーディオでないとダメな理由」でも選び方が大きく変わるはずです。

そのネットワークオーディオ機器を使う期間

ネットワークオーディオ機器にあってその他のオーディオ機器にない機能として、「ネットワーク経由でのファームウェアアップデート」があります。

アップデートがなされる機器はオーディオ機器に関わらず、アップデートや使用期間の経過とともに動作が遅れるようになったりしてくる可能性は避けられません(スマホ、PCもそうですよね)

実際に操作してみて、操作感に不満はないか(あったとして許容できるレベルか)、新品の時点でレスポンスの遅延は無いか確認しておいたほうが良いです。

新品の時点でかなりレスポンスが悪いようなものはその後の改善の見込みは薄いと思っておいたほうが良いです。つまり、長く使いたいならレスポンスの遅れが小さければ小さいもののほうが良いと思います。

でないと音楽を聴く前の操作でストレスが溜まってしまい「ネットワークオーディオはもういいや」となります。

メーカーが変わる可能性はあるのか

今後変更していくネットワークオーディオ再生機器のメーカーに変更の可能性がある方は注意です。

CDプレーヤーはフロントパネル上のある程度定まった位置に再生、一時停止、早送り/巻き戻し、ディスク取り出し、電源ボタンが並べられていて、ユーザーが一目フロントパネルを見れば操作できてしまいます。

レコードプレーヤーも手前側両端に再生・停止、回転数切り替えボタンが配置されていて、同様に一目パネルを見れば操作できます。

・・・・ネットワークプレーヤーはどうでしょう・・・?

メーカーによって純正アプリが異なり(メーカーによっては純正アプリがなく)、その再生アプリによってキュー(再生待ちの楽曲リスト)や各操作ボタンの位置が全く異なり、機能差もCDプレーヤーやレコードプレーヤーより大きいです。

メーカーが変わるたびそれを一から覚え直していくのも「もどかしい」と思います。
そういう意味では、一つのメーカーの製品を長く使い続けていくというのが最適解と思います。

メーカーが変わる可能性があるのであれば、先述のOpenHomeに対応したネットワークオーディオ機器を購入しておいたほうが良いと筆者は思います。
筆者の知る限り以下メーカーがOpenHome対応です。
  1. fidata
  2. Soundgenic
  3. DELA
  4. LINN
  5. LUMIN(組み合わせによってはLUMIN独自プラットフォームで動作)
  6. TEAC(組み合わせによってはLUMIN独自プラットフォームで動作)
  7. ESOTERIC(組み合わせによってはLUMIN独自プラットフォームで動作)
  8. SONORE
  9. Sforzato
  10. ifi Audio
これらはファイル再生においてはLINN Kazooからの操作を一通り受け付けます(それ以外にもOpenHome対応のアプリケーションであれば基本的には操作可能)。

つまり、メーカー間の隔たりなく一つの操作用アプリケーションで統一された操作系を構築することが可能です。




筆者も現在オーディオ用NAS(Canarino Fils9 Rev.3)とTEAC NT-505とLINN KazooでOpenHomeによる再生環境を構築していますが、LINNがルーツと言うだけのこともあり、機器そのものの問題で「全く操作できなくなった」というのは一度も発生していません(言い換えれば、できなくなったときは筆者が何か設定を間違えています)




音質ももちろん大事ですが、最終的に購入判断する際はこのあたりも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

程度の差はあれど音質は購入後のセッティングで詰めていくことができますが、操作系ばかりはそのものを変更しない限りどうしようもありません。

コレやレスポンスの未確認などによる失敗が、ネットワークオーディオが「高音質な音の鳴らないただの箱」と化す最大の要因と筆者は考えています。

最後の質問

これまでの項目を総合して筆者が最後に述べたいことは以下です。

あなたがネットワークオーディオで成したいことは何ですか?

オーディオをしている以上、最終的には「音質」にまとまるものなのかもしれませんが、それだけではわざわざネットワークオーディオを選ぶ理由としては説得力に乏しいと筆者は感じますし、音質以前に考えなければならないことが先述の通りあります。

この項ではあまり多くを書くつもりはありません。

「ネットワークオーディオっていいのかぁ・・・・入れてみるか」とこれまで考えていた人はこの機会にいま一度整理していただければ選ぶ際に自身もオーディオショップの店員も困ることが少なくなると思います。

ハブ?Diretta?Roon?後だ後!!

最近Twitterでネットワークオーディオ関係のツイートを見かけると真っ先に目につくのが
  • 「ハブで音が良くなった!」
  • 「Direttaで音が良くなった!!」
  • 「Roonで音が良くなった!!!」
です。

しかも内容から察するにネットワークオーディオを初めて数ヶ月単位の人ですら真っ先にDirettaを導入している状況があったりすると感じます。

オーディオは趣味なのであまりとやかく言いたくはありませんが、
「あとに回しても良かったのでは???」

と感じずにはいられません。

特にDirettaはターゲット製品の多くが「USB出力」となっているものが多い現状を踏まえると、Direttaそのものの目的である「データ送信時のノイズを小さく分散させ音質への悪影響を減らす」という本懐が実現されているとは言い難い状況と感じます。


筆者がUSB出力で「データ送信時のノイズを小さく分散させ音質への悪影響を減らす」という本懐を実現するならば、Bulk Pet伝送を使います。わざわざDirettaを経由する理由はありません。


また、オーディオ用スイッチングハブも「導入時点でネットワークオーディオ設置場所とルーターの設置する部屋が異なっている」とかであれば話は別ですが、だいたいルーター付属のハブ(だいたい4口以上あるでしょう)があれば環境は作れます。

それよりもアナログの出口(=ネットワークオーディオプレーヤーやDAC)に最初の資金を投じたほうが有利な気もします。

Roonもその音質を狙って導入するよりも、筆者個人としてはRoonの持つユーザビリティに着目してほしいなと思います。

ここで、Roonの公式webサイトより引用します。

Roon elevates your music experience in many dimensions, from rich metadata to integrated streaming services, and from inspired music recommendations to high-resolution home streaming.
Webサイトをあらかた眺めてみると気づくかと思いますが、Roonは公式でも「Roon Readyによる音質の優位性」より「Roonの導入によるユーザーの音楽体験の向上」に重きを置いていることがうかがえます。

というか、誰だよ「Roonを入れると音が良くなる」とかいう安直すぎる噂を流したやつは。(←見なかったことにしてくださいw)

なので、筆者がこれからネットワークオーディオを始める人に言いたいのは

RoonやDirettaやオーディオ用スイッチングハブなどは後で良い

まずはちゃんと音が出るレベルに持っていくことが大切

です。

先程も少し述べましたが、音質は導入後のセッティングで限度はあれどある程度詰めることができます。

まずはネットワークオーディオがなせる「画面を開くだけでジャンルやアーティストなどを絞って大量のアルバムアートから曲を再生できる」という快適性が構築できるようになればまた見えてくる世界も変わってくると思います。




以上、筆者のネットワークオーディオ雑感でした。

久しぶりにココまでの長文を書いた気がします。

ネットワークオーディオを非常に快適に楽しんでいる身として、「音質以前の問題でネットワークオーディオをやめてしまうような状況ができていることは非常に悲しい」と感じたら書かずにはいられませんでした。

ぜひネットワークオーディオを選ぶ際には情報収集をして、「自分がネットワークオーディオで成したいこと」を言語化して、ネットワークオーディオに詳しいショップの店員や友人に相談しながら選ぶことをオススメします。

それが「快適かつ高音質なネットワークオーディオ環境への近道」だと思います。

筆者でもよければ可能な限りヘルプいたします。

今回も最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
次回も乞うご期待です!

それでは。

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