[レビュー] TEAC NT-505を導入しました~(4). レビュー~

こんにちは.Nony(  )です.

NT-505の導入に関する記事も今回で一区切り付きそうです.




今回はいよいよ,音質や使い心地のレビューに入っていきたいと思います.


おことわり

まず最初に予めご承知おきいただきたいことがあります.

筆者は「ネットワークプレーヤー初心者」です.

つまり,このNT-505が人生で初めてのネットワークプレーヤーになります.

したがって、現状再生できる環境は

  1. ストリーミングサービス(Spotify)を利用した再生
  2. USBメモリをNT-505に挿入して再生
  3. PCをRoonサーバー+ストレージ、NT-505をRoon Outputとして再生
の3通りがメインになります。

本来であれば最も古典的な「NASに保存した楽曲をNT-505を操作して再生」という手法も取りたいですが、現在NASを所有しておらず、評価できません。

その点だけご了承いただけますと幸いです。


操作性レビュー

まずは操作性のレビューからしていきたいと思います。

1. Spotify connect

過去のNT-505に関する記事を読んでいない方のためにここで改めて述べておきますが、筆者のネットワークプレーヤー導入の主たる目的は「ストリーミングサービスにて配信されている楽曲を自身のオーディオシステムで再生できる環境を整えることで多くの未知の楽曲や新曲と出会い、楽曲購入の機会とする」ことです。

したがって、配信楽曲数の最も多いSpotifyを利用しています。

筆者のネットワークプレーヤーに求める最も使用頻度の高い機能ですので、まずはこの機能の操作性が良くなくてはお話になりません。

ただそこは独自の操作用インターフェイスであるSpotify Connectを持つSpotify、操作するアプリケーションのレスポンスはもちろんのこと、操作した内容がNT-505本体に反映されるまでについてもストレスを感じません。

NT-505本体との接続も途切れることなく、また、NT-505本体の電源を投入した際に「いつまで経ってもSpotify ConnectでNT-505が認識されない」などのようなネットワークオーディオでよく耳にするトラブルも現状では皆無です。

他のSpotify Connect対応のネットワークプレーヤーのレスポンスについても比較したいところではありますが、現時点でもLUMIN Appベースのネットワークプレーヤーの安定性に満足しています。



不満もないわけではありません。
まず、Spotifyアプリ側にて操作中の画面左側にジャケット画像が表示されない場合がしばしばあります。画面中央にジャケット画像を大きく表示する際にはこの問題は生じませんし、再生にも何ら影響はありませんが、ジャケット画像を眺めることができればなお嬉しいです。

また、NT-505純正の再生アプリケーション「TEAC HR Streamer」との連携もいまいちです。当初はTEAC HR StreamerからSpotifyのAPIを使ってSpotify connectと連携できるのかと思えば、実際にはTEAC HR StreamerにあるのはSpotifyアプリへのジャンプ機能のみで、NT-505からSpotify connectを用いた再生には全てSpotifyアプリを利用することになります。
ただ、完全にAPIを利用していないかというとそういうわけでもなく、ジャケット画像や現在の楽曲等のメタデータは取得しています。この仕様が中途半端だと感じるのは自分だけでしょうか?

おそらくSpotify→NASへの切り替えなどのためにこのような仕様にしていると思われますが、アプリ間の行き来というのは面倒くさいですし、できるのであれば1つのアプリケーションで解決できるようにしてほしいと感じます。


2. USBメモリ内の楽曲を再生

NT-505にはUSBメモリを差し込んで内部の楽曲再生などをネットワークで操作できる「メディアサーバ機能」があります。

したがって、NASやTIDALアカウントなどを持っていなくてもTEAC HR Streamerの純粋な操作感を体験することが可能です。

ということで


やってみました.


ジャケット画像の読み込みもSony Music Centerでリッピングしたものは問題なく表示されています.

LUMIN純正コントロールアプリやLINN Kazooとの比較もしてみました.

まず,TEAC HR StreamerやLUMIN App共通の良い点としては,ジャケット画像の表示です.初回は少し時間がかかる印象でしたが,回数を重ねるごとに読み込みも早くなり,ストレスに感じないレベルの読み込みスピードです.

さらに,LUMIN App/OpenHome両方に対応しているため,LINN Kazooで操作した後にこちらのアプリに切り替えても問題なくキューや再生楽曲が同期されます.

ちなみに,逆の操作(LUMIN Appで操作後にKazooに切り替え)はLINN KazooがNT-505を認識しません.おそらくは(アプリケーションとしての)LUMIN Appで操作した(プロトコルとしての)LUMIN App対応プレーヤーはOpenHomeで操作できなくなるものと思われます.

LINN Kazooで確認したところ,メディアサーバー機能に使用したUSBメモリの領域に対してもIPアドレスが割り当てられていたため,「他のネットワークプレーヤーからNT-505のUSB端子に挿し込んだUSBメモリ内の楽曲を再生する」ということも可能であると思われます.

また,TEAC HR Streamerではなく純正のLUMIN Appも試してみました.


問題なく認識されます.また,TEAC HR Streamerとは違い,上の画像のように画面分割にも対応しています.こちらのほうがアップデートの頻度も多いようで,操作の柔軟性では純正のほうが上です.気持ちレスポンスがTEAC HR Streamerよりも速い気もします.

そして,OpenHome対応コントロールアプリの代名詞,LINN Kazooですが


アルバムアートワークが全く表示されません.メディアサーバー側で何かしら設定が必要なのかもしれません.ときおり設定に移動するためのボタンが消えたり,少し動作が怪しい印象.

このあたりはもう少し試行錯誤してみようと思っています.

ここで判明したことをまとめておくと

  1. TEAC HR Streamer/LUMIN AppはOpenHomeにもしっかり対応
  2. 2020年6月28日現在では操作の柔軟性はLUMIN App > TEAC HR Streamer
  3. LINN Kazooは楽曲管理に一工夫が必要と思われる
といった感じでしょうか.引き続きOpenHome対応コントロールアプリについては他社製のものも試していきたいと思います.

3. PCをRoonサーバー+ストレージ、NT-505をRoon Outputとして再生

さすが有料ソフトウェアと言わざるを得ません.

特に,楽曲解析機能・他サービスとの連携が優秀と感じます.
ソフトウェアの中で同期するディレクトリを選んだ瞬間から,各アルバムのダイナミックレンジや歌手情報,その歌手のWebサイトなどを瞬時に提供してくれます.

音質云々の前に,操作していて飽きることがありません.

ただ満足かと言われればそうゆうわけでもなく,上記のサービスとのトレードオフでほぼ確実にPC(しかも高いスペックが要求されます)が必要になります.

ここは各ユーザーにより好みがはっきりと分かれてしまうかと思います.「ノイズ源が増えてしまう」という人や,「それだけ楽しみ(USB DAC/LAN DACなど)が増える」という人もいるでしょう.

とはいえ筆者のRoon再生環境はまだまだなので,ストレージとRoon Coreの分離やCoreの有線・無線の違いなど,ゆっくりと進めて行ければと思います.

音質

肝心の音質ですが,Spotify Connectならびにメディアサーバー機能では満足しています.

幅広いダイナミックレンジの表現やアップテンポなリズムへの追従,帯域バランスなど,しっかりと抑えるべきところは抑えている印象です.前回記事でも述べたようなESOTERIC製品にも通じる明瞭で芯の通った表現もしっかりと受け継いでおり,現代的な音作りかと思います.

個人的にはもう少し滑らかさが欲しいとも感じますが,この音質を維持したまま滑らかさを求めるともっと上の機種でないと厳しいのかなと思います.オーディオボードやインシュレーターなどのセッティングでも大きく変わりそうなので,ここは楽しみです.

TEAC/ESOTERICの製品はオーディオショウでかなりの頻度で聴きますが,スピーカーがTANNOYやAvangardeということもあり,空間表現などはそっちに委ねて,プレーヤーやアンプはあくまで忠実であることに身を徹しているのでしょう.

筆者のスピーカーはSM10という,いわゆる「モニタースピーカー」としての使い方も想定されたスピーカーなので少し「カッチリ冷たい」印象があるのは否めません.特に女性ボーカルの温度感や弦楽器の密度感は「もっとあれば嬉しいな」と思います.

とはいえこれはいわゆる「ポン置き」の状態でのお話です.しかも上記の温度感や密度感,空間表現は「欲を言えば」のレベルなので,「今すぐ直さないと聴けない」といったレベルではないです.つまり「初めてにしては満足」という感じでしょうか.

個人的に前途多難だと感じたのはRoonです.まずPCを無線でつなげている状態では解像度が全く足りません.USB-DACをつないだほうが満足するくらいには.

有線LANでつなぐといくぶんかマシになりましたが,インターネットで見かけるような高評価に対してそこまで高音質だとは感じませんでした.「現状のシステムを継続するのであればわざわざRoonにする必要は無いかな」と感じています.

つまり,Roon Serverやストレージなど,Roon Core周辺の環境を整えた場合にどう変化するかによってこのあたりの最終判断が決まりそうです.この部分も決して安くはない(むしろRoon Server用PC,オーディオ用NASにすると非常に高額な)買い物なので,これで満足できなければOpenHomeをベースに今後のネットワークオーディオ環境を運用していこうとも思っています.



ということでNT-505に関する記事はここで一旦落ち着くことになります.

しかし,再生環境やセッティングを含め,まだまだ実験・改善の余地があるので,その模様もその都度このブログで報告できればと思います.

最後まで読んでいただき,誠にありがとうございました!!
次回の記事も乞うご期待ください.

ではでは




コメント

  1. はじめまして、突然のコメント失礼します。
    初めてブログを拝見したのですが、ストリーミングサービスへの向き合い方やRoonへのイメージ・ご感想など自分と共通点が多く、つい勝手にシンパシーを覚えてしまいました。導入の主たる目的に至っては「自分が書いたのかな?」と思ってしまうほどです。

    TEAC、良いですよね。私もNT-505とは比べものにならないほど下のランクの製品ですが、AI-301DA-SPを検討したことがあります。とても真面目に作っているメーカーさんという印象です。

    これからも更新楽しみにしています。頑張ってくださいね。

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    1. Qsoさん,はじめまして.
      初めてのネットワークオーディオにも関わらず欲張った結果この機種にたどり着きました.

      TEACは比較的低価格の機種からESOTERICの超高級機種に至るまで各機種の主たる目的を明確にして作っているとても真面目なメーカーだと思います.

      特にCDレコーダーやテープレコーダーを現在も生産を続けており,オーディオメーカーだけでなくデータ収録機器メーカーとしてのアーカイブとしての役割も担っている点は個人的に好印象です.

      最後にブログを呼んでいただき,誠にありがとうございます.今後とも宜しくお願いいたします.

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